言いたいこと言えない

きむらさとしの日記

「ぼくのイメージの詩」と僕

僕にはとても仲の良い人がいる。
みそさざいという、大阪に住むイラストレーター。
彼には、僕のやっている「たけとんぼ」というバンドのCDイラスト、デザインを頼んでから仲良くなった。(その節はありがとう…!)

彼は趣味で(といっても趣味の範囲越えそうだな…!笑)ギターをやったり打ち込み音楽をやったりしている幅広い才能を持っています。めちゃすごい。
そんな彼の最新作(!)が、つい最近発表、販売された。

その名も「ぼくのイメージの詩」。
HOLIDAY!RECORDSで販売開始されていたが、もう売り切れになっていた。凄まじい…!!

細かいことは是非読んで欲しいのだけれど、僕なりの感想を書いてみたいと思います。

そもそも僕はこの漫画の登場人物になっている通り、彼の激動の瞬間の渦中にいて、まさにこう、リアルタイムで話を聞いたり一緒に一喜一憂したりした。
みそくんは繊細で落ち込みやすく思い詰めやすく、そういう弱い部分が僕そっくりで、長電話したりする時はいつも自分と話しているようで、なんだか自分に優しくできている気がした。
でも芯はしっかりしているし、火がついた時のスピードやフットワークの軽さ、いいものを作ろうというプライドの高さを、僕は心から尊敬している。
特にこの作品は、かなりの年末に「漫画にしようと思ってる」と聞いたのに正月僕が実家で甘やかされているうちに完成していたというから驚きだ。
すぐにくれ!と言って、昨日の晩に届き、すぐに読んだ。

端的に言って、名作だ。マジで。
とにかくやっぱり絵が良い。みそくんの持ち味は、新旧を混ぜこぜにしたような素朴なタッチだと思う。終始作品には暖かい空気が流れ、ずっと安心する。気持ちはどこか冷ややかだけど、身体中に触れる空気はずっと春だ。
それはきっと彼が前に進んでいる証拠なんだと感じた。
漫画家を目指していた時期もあったからか、コマ割りも素晴らしかった。ライブシーンのあるページのコマ割りが最強にかっこいいので是非見て欲しい。
色々電話で聞いてて知ってるはずなのに、こうして作品となって見る彼の「イメージ」は、かなり新鮮に見えた。

みそくんは一見未熟で、情けないとすら見られる時がある。人に弱みを見せたり、急に閉じこもったりしてしまうから。
でもそれはほんとにただの上澄みでしかない。さっきも言ったけど、彼は芯のある人だ。そういった行動は、ただの助走でしかない。高く高く飛ぶ前の。
去年、みそくんと出会ってなければたけとんぼの盛り上がり方は違っただろうし、僕も色々やってみようという気持ちは起こっていなかったかもしれない。
とにかくとにかく彼は面白くて可愛くて、少し繊細だけど強い人だ。周りの優しさは、彼の人間性をよく表している。

今年、みそくんはより高いところに飛ぶために、長い長い助走と共にこの作品を発表した。もしかしたらもう本当に手の届かないくらいの場所まで飛んでいってしまうかもしれない。そんな彼を見て、僕は焦ったりなんかしない。心底愉快で堪らない。そして僕も高く飛んでやろうと思う。
ライバル、というほどのものではない。むしろ、つらい時に寄り添い合える「くよくよ同盟」くらいの気持ちだ。死なない程度に頑張る、という約束だけを守っていれば、それでいい。

さて、僕は何をやってやろうか。